医学部合格から医師として一人前になるまでの道のりは長く苦しいもの。
「どうしても医師になりたい!」という強い意欲がなくては、到底乗り越えられるものではありません。
そのため、医学部受験においては願書や小論文・面接でくり返し志望動機を問われることとなります。
いつ、どんな形で問われても良いよう、自分の中でしっかりと確立しておきましょう。
医学部受験においては、出願書類や面接、小論文で志望動機を問われるのが一般的です。
しかし受験の最難関として高い学力を要求される医学部では、学科の勉強に大きく時間を割かなければならず、志望動機を熟考するための時間が取れない学生も少なくありません。
特に推薦入試やAO入試の選抜では志望動機が重視されており、長文の「志望理由書」を求められることもあります。
こういった入試方法で合格を目指すならば、志望動機の対策は必須と言っていいでしょう。
志望動機を考えるうえで大前提となるのは、あくまで自分の本音をベースとして構築していくということです。
もっともらしい答えにしようと思うあまり、模範解答的な志望動機をそっくりそのまま書き写したかのような志望動機を書く学生も多いのですが、これはむしろ逆効果です。
他の多くの受験生と似たり寄ったりの回答となるため、人物像がぼんやりしてしまいます。
試験官が求めているのは、学生一人ひとりの個性や、いきいきとしたモチベーションです。
模範解答的な志望動機よりも、心からの率直な意見を述べたほうが自分らしさが伝わり、好印象となるでしょう。
志望動機はゼロから作り上げるものではなく、あくまで「自分自身の中にある本音をうまくまとめたもの」と考えてください。
志望動機で問われる内容は、「医師になりたい理由」と「この大学を志望する理由」の2つです。
当然、「医師になりたい理由」が弱いと医学部生としての熱意や責任感に欠けると見なされますし、たとえ「医師になりたい理由」をしっかり述べることができても、「この大学を希望する理由」が貧弱であったならば、面接官は「この学生はうちの大学でなくても良いのではないか」と感じてしまいます。
医学部に合格するためには、これら2つの志望動機をどちらも論理的に、かつ両者の論旨が矛盾しないように準備しておく必要があるのです。
医師になりたい理由は、「医師を志すきっかけとなったエピソード」を中心に構築するのが一般的です。
ここで注意したいのは、エピソードをしっかりと掘り下げ、「なぜ医師でなくてはならないのか」という理由を具体的に述べられるようにしておくということです。
例えば「大切な人の闘病生活に立ち会った経験」をきっかけとして述べたい場合、病気の人を助けることができる職業は医師だけではないため、「なぜ製薬会社の研究員や看護師といった他の職業ではなく、医師になりたいのか」というところまで踏み込み、理由付けをしなくてはなりません。
大学志望理由では、医学を学ぶにあたって「この大学でなくてはならない理由」を述べます。
第一志望校であれば志望理由も思いつきやすいのですが、ほとんどの受験生が複数の大学を併願するため、第一志望校以外の大学については具体的な志望理由が思いつかないというケースも多いことでしょう。
しかし、逆に考えれば多くの受験生が苦戦する部分だからこそ、工夫次第で他の受験生に大きく差をつけることも可能です。
オープンキャンパスやパンフレットで得た情報から「興味のある分野を専門とする教授がいる」、「自分が理想とする内容の実習ができる」といった理由付けをしていきます。
ただし、他の大学でもよくある特色を誤って「この大学にしかない特色」として志望理由に挙げてしまうと、志望校研究が不十分と取られてしまいますので注意してください。
推薦入試やAO入試においては、志望動機や今後の抱負を長文でまとめた「志望理由書」の提出が求められることがあります。
受験生の熱意やヤル気を伝える志望理由書は、しばしば合否を決する重要なファクターとなるものです。
志望理由書は、試験会場で書くものではなく、多くの場合郵送での提出となります。
つまり何度も推敲して書き直すことができる書類ですから、余裕を持って取り組み、完成度の高い志望理由書を作っておきたいところです。
また、志望理由書を作成してしっかりと自分の志望動機を地固めしておくことは、面接で志望動機を問われた時の対策にもなります。
志望理由書の提出が求められない大学を受験する場合でも、ぜひとも一度は書いておくべきです。
書き方には独特のテクニックを有するため、予備校でアドバイスや添削をしてもらうのも良いでしょう。
志望理由書は、合否へ及ぼす影響の大きさから考えれば「制限時間のない試験」と言っても過言ではありません。
メインの内容となる志望動機そのものは自分自身のこれまでの経験や正直な思いの中から見つけ出す必要がありますが、書き方には一定のテクニックがあります。
基本的な構成や書き方のコツを覚えて、合格に一歩近づく志望理由書を書き上げましょう。
いわゆる「志望動機」にあたる部分です。
医師を目指すようになったきっかけや、自分の中の理想的な医師像、それらについての熱い思いを述べます。
志望のきっかけとなるエピソードや医師像から「私も医師になりたい」という思いが生まれるに至るまでの論理的必然性に注意して書くようにしてください。
文量はだいたい全体の2割~3割で良いでしょう。
ただ漠然と医師になりたいのではなく、どのような医師になって、どんな活動をしていきたいのかを述べます。
この部分が具体性に欠けていると、試験官は「本気で医師を目指していないのではないか、志望度が低いのではないか」と感じるため、目指したい科や活躍したいフィールド(地方・海外など)について具体的な展望を書くべきです。
試験官が「この大学でなく他の大学でも良いのではないか」と思わないよう、数ある大学の中でもこの大学で医学を学びたいという理由について述べます。
医師を志望する理由や将来の展望ともリンクさせながら、他の大学にはないこの大学独自の学校方針の特色や専門性について触れ、自分がこの大学で学ぶことの意義をアピールしてください。
最後に、この大学に合格できたあかつきにはどのような学生生活を送りたいのかについて述べます。
自分が理想とする医師像に近づくため、学生生活の中で重点的に学んでいきたいことや、行ってみたい部活動・課外活動など、キャンパスライフを想像して具体的に書くと良いでしょう。
その大学に合格した先輩の話を聞くことも参考になります。
志望理由書を一通り書き終わったら、必ず1~2日の時間を置いてから再度見直しを行ってみましょう。
書いた時には気づかなかった論理の矛盾や誤字脱字に気がつくことがあります。
また、他人に読んでもらい、指摘してもらうことで、説得力不足や構成の不備に気づけるケースもあります。
自分で書いた文章の自己添削には限界があるので、良い志望理由書を作るには予備校や学校で他の人からのアドバイスをもらうことが非常に大切です。
面接で志望動機を聞かれることは定番中の定番です。
志望理由書をしっかりとまとめておけば、面接でも戸惑わず志望動機を述べられるでしょう。
あまりに非常識な内容でない限りは面接のせいで不合格になるということはほぼなく、自分の思いをきちんと伝えられる会話能力があれば大丈夫です。
ただし面接は緊張するものですので、思ったように話すことができないということもあります。
志望理由書での対策に加え、医学部予備校などで面接練習を積んでおくと安心です。