近年、社会人になって社会人経験を経て医学部を目指す人が増えています。その背景は、もともと医師を目指していたが一度は諦めた人、社会に出てから医療に興味を持ち医者への道へ進む人など、人により様々。現在、別の学部に入った大学生の医学部への再チャレンジも含めて年間何万人もの人が医学部を再受験しており、狭き門とはいえ多くの合格者も出ています。
医学部を受験する人の数は年間約14万人。倍率は10倍以上の狭き門です(2022年10月調査時点)。どんなに優秀でも、簡単に合格することはできません。それだけに現役時代に受験に失敗し他の学部へ行ったという人もたくさんいます。また、医学部志望だったが経済的に難しいので諦めたという人もいます。このように現役時代に医学部を諦めた人が社会人になってから再挑戦というパターンはとても多いようです。
医療関連の仕事についた人、あるいは健康増進授業の仕事についた人などが社会人になってから医療に興味を持つことで医師への道に進む決意をするというパターンも実はかなり多いようです。こういうパターンの人は医師への道へ進むにあたり確固たる目的意識を持っていることが多く、医師として成功する人が多いのも特徴的です。
例えば、薬剤師や臨床工学技士など、専門知識を磨いて医療系の職種に就いたとします。ところが、実際に現場に出てみると、医師との権限の違いに驚くことも多いそうです。このように、自分が本当にやりたかったことができるのは医師という職業だと気づいた方は、目標が明確で医学部受験の困難も乗り越えていける方が多くいます。
社会人に限らず一般的に医学部の受験はかなり難しいものです。門戸はとても狭く、基準もかなり高いと言われています。社会人はただでさえ仕事と勉強の両立をしなければならない中、勉強だけに専念できる人々に勝つのは容易ではありません。そこで多くの医師を目指す社会人が仕事を辞めて受験勉強に専念するのか、このまま会社に勤めながら勉強をしていくのかという葛藤を抱くこととなるのです。社会人の経験が生きる部分はあります。しかしそれを披露できるのは1次試験である筆記問題を突破してから。1秒でも多くの勉強時間を確保し、筆記試験を突破できる実力をつけるのが社会人の医学部受験の鍵です。
医師を目指す社会人にとって、社会で自立し広い視野を持てるような経験をしてきたことそのものが最大の武器だという認識は決して間違っていません。医療の現場でも、社会人経験が即戦力となるためにとても貴重なものだとされています。昨今、医療の現場では、まさに医学だけではなく経営やサービスなどの視点を持っているかが大きな課題となっています。そもそも病院が潰れてしまっては元も子もないし、サービス精神がなく患者に無下な扱いをするようでは患者が診察に来ませんよね。
定説では社会人の再受験は大学側からとても厳しい見方をされるというもの。しかし、こと医学部では、大学によってということにはなりますが、社会人の再受験に対してプラスの評価をしてくれるところもあるのが現状です。
社会人の受験生にとってまず上げられるデメリットは勉強時間が十分に取れないこと。浪人生などは1日に8時間の勉強時間を確保することが可能ですが、仕事をしながらの社会人にとっては平日は取れても4時間程度。しかも仕事を終えて、疲れている状態で勉強することになります。そして平日に足りない勉強時間を土日で補完することになるのですが、体力、集中力を維持するのはとても厳しいものがあるでしょう。かなりの強い意志と根気が必要とされます。最悪、仕事との両立が難しいということで仕事を辞めるという選択をする人もいますが、その場合、経済的に問題が生じてきますので親など誰かしらの援助がないと成り立ちません。
また、予備校によっては社会人を受け入れてくれないところもあるので注意が必要です。
大卒の社会人には一般入試の他に学士編入という方法もあります。学士とは学問分野を専攻し、確かな目的意識を持つもののことなのですが、この場合、他学部卒業者は学士という解釈になり、この学士編入試験を受けることがきます。医学部2年次または3年次に編入させる制度です。では一般入試と学士編入はどちらが良いのでしょうか。学士編入は学校によっては小論文だけという場合もあり、倍率も低いので一見楽なように見えます。しかし受験者は学歴が高い人や専門分野の知識の豊富な人などが集まるので倍率以上に難関だとも言われています。あとは一般入試と学士編入に相互性がないので、両方の対策をするというのはなかなか難しいようです。
医学部は卒業するまで6年かかります。一人前の医師になるのにも相当な年月と経験が必要となってきます。この点と相互関係があるか確証はありませんが、30代以上の再受験は合格率が低いというのが一般的です。それは35歳を超えるともっと顕著に現れています。最近ニュースにもなりましたが、年齢や性別によって筆記試験の点数がよくても面接などで調整される可能性もあるでしょう。今後是正されるのを願うばかりですが、医師一人を育てるには学費以外にも多額の税金がかかることを考えると、大学側ができるだけ長く医師として活躍してくれる学生をとりたい気持ちも否定できません。もちろん合格を勝ち取っている30代の人はたくさんいます。大事なのは、面接でどれだけ自分が医師になりたいのかという熱意を伝えることなのです。
社会人の再受験で武器になるのは現役生などには持ち合わせていない経験と知識にあります。あなたが持っている社会での経験は医師になってから活きてくるシーンがたくさんあります。また、何か資格を持っていることで医師になってその経験が活きるというパターンもあります。例えば薬剤師や歯科医師、放射線技師、看護師などの資格と経験があればより広い視野で医師として活躍できます。自分の経験を面接でうまくアピールできれば、受験においても大きな武器となるのです。
高校時代に医学部への進学を迷いましたが結局他学部に行きました。そこで卒業の際に書いた論文に医療に関する内容があり、調べるうちに卒業後に医学部を目指してみたいと思うようになりました。1年で結果を出したかったので、現役の受験生に比べ医学部受験用の勉強時間はどうしても短くなってしまいますが、その分、強い気持ちを持って取り組み、やればやるほど伸びる感触がありました。
看護学科で看護師の資格と助産師の免許を取り看護師を3年間、助産師を5年間務めましたが、その日々の中で考えるものがあり医学部に行こうと決意しました。初めの2年は独学で勉強しましたがうまくいかず3年目は予備校に通い、やっと合格することができました。いろいろな対策やアドバイスがもらえたので予備校に通ったことで合格できたと思っています。
生命科学を学び大学院で博士課程まで終了し博士号も取りました。そこらへんから医学と融合した分野でやりたいと思うようになり医師免許が必要だと感じたので医学部受験を決意しました。1年間みっちり勉強し基礎を高めたことで合格することができました。
人の命を救うのが医者の役割ですが、命を救えるのは医者だけじゃありません。政治家や消防士、災害時の自衛隊だって人の命を救うことができます。つまり医学部、そして医師への志望動機は「人の命を救うこと」では不十分なのです。面接ではそういう部分がよく見定められます。志望動機を深堀りしていないと、他の学生と差をつけることができません。
医師になる覚悟を持つのもとても重要です。受験勉強は長くて苦しいものです。それを乗り越えられたとしても今度は大学で6年間の勉強、それから研修医などを経て一人前の医師になるには10年以上はかかります。その間、収入もなければ学費もかかってくるし、何よりこれだけのスパンを努力し続けるには「医師になるんだ!」という確固たる意志が必要です。
医学部受験はまず1次の筆記試験をクリアしなければですが、社会人になって学生時代に勉強した内容もすっかり忘れているなんてことも。時間はあまりありませんが、疑問点をそのままにせず、それこそ中学時代からやり直すくらいの覚悟を持つ必要があります。
ただでさえ現役受験生と比べると勉強時間が少ないのに対し学習量は膨大。そこで、いかに効率よく勉強するかがカギとなってきます。医学部予備校ならばムダを省いた効率の良いカリキュラムが提供されています。また講師が学習計画をしっかりサポートしてくれる、まさに勉強に集中できる環境を手に入れることができるのです。
勉強から離れて久しい社会人ですから、現役生と比べて学力もどうしても開きが出てきます。それなのに現役生と教室を同じにして授業を受けるのは結構チャレンジングなことだと言えませんか。そこで、予備校や学習塾に通うならば個別に力を入れているところにするのがおすすめです。自分のペースで弱いところを重点的に学べる環境があります。